家族ってもんは猛毒にも、最強最高の薬にもなるんだよね

本日、新宿バルト9で「サマーウォーズ」を観てきました。監督の細田守氏をはじめとした、アニメ版「時をかける少女」を作り上げたスタッフが再結集して作った作品の名に恥じない、本当に素晴らしい映画でしたよ。


映像、演出、ストーリー、出演者、音楽。全てが特筆すべき出来だったと思います。個人的には文句のつけようがないと言っちゃえるくらい。本当に本当に面白く、感動してスカッとしてニカッとする、最高に夏らしい映画でした。

特に映像と音楽は本当に最高でした。長野県は上田の風景や、そこに建つ旧家なんかが本当に美しく描かれていました。そこに松本晃彦さんの音楽と、山下達郎さんの歌う主題歌が最高に合うんですよね。クライマックスの、主人公の健二やヒロインの夏希が立ち向かうシーンや、スタッフロールへの入りなんかはもうヤバすぎ。あれは泣かない方がおかしいよ。

時かけ」も初観賞時は泣きそうになりましたが、今回の「サマーウォーズ」はその比じゃないくらい泣いてしまいました。人が病気だなんだでもったいぶって死んでいくお泪頂戴物より、サマーウォーズのような暖かい展開の方が個人的には泣けるようになってきたなぁ。

こんなに心をぐらぐら揺らされたのは本当に久しぶりかも。映画を観終わって外に出て、青空を眺めただけで涙が出そうになったのには自分でもおかしかったw「ヱヴァ・破」のラストもかなり心にキましたが、サマーウォーズはそれ以上だったと思う。


ストーリーや設定は、ある意味王道展開とも言える部分もありましが、それが全然陳腐には見えないのも良かったですね。むしろ、あれこそが最高の展開だと思います、てか、あれを陳腐だと一笑するような人とは関係を持ちたくないw

一人っ子という、主人公の健二と共通する部分を持つ私は、余計に健二の気持ちが分かった気もします。親戚全員が集まる大家族って、やっぱり良いよね。

ただ、その太陽みたいな家族の中にも、暗い部分がしっかりある。ただ優しく暖かい家族を描くんだったら、そんなもん入れなくても良いでしょう。でも、それを避けずに描いているのが、この作品の物語をしっかりと構築させている要素の一つなんじゃないかと思います。その暗い部分が本当はどういうもので、どうなっていくのかも、映画の見所の一つ。


サマーウォーズでは、そんな昔ながらの家族と同時に、最先端の仮想世界が重要なファクターになっています。てか、この仮想世界が無いと物語が成り立ちません。

家族というアナログなネットワークの形と仮想世界というデジタルなネットワークの形が世界を懸けて対決するという展開は、確かにバカバカしくもあります。でも、それをリアルな姿にしっかりと構築して、一つの物語として成立してるのは、やはり細田監督を始めとして、この映画を作った全ての人の力なんだと思います。これは本当に世界に誇れることだと思う。

そういえば、細田監督が初監督を務めた「劇場版デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」と似た部分もけっこうありましたね。やはり、細田監督はこの映画をセルフカヴァーみたいな気持ちで作ったのかもしれないね。


次に出演者ですが、あんまりプロの声優さんは使っていません。どちらかというと、宮崎アニメみたいに俳優女優さんを起用しています。宮崎アニメだと、それが大失敗にあんる場合もありますが、この映画はみんな絶妙に噛み合って気持ちいいくらい。特に健二と夏希を演じる神木隆之介くんと桜庭ななみさん、そしてキーマンの栄おばあちゃんを演じる富司純子さんは本当にハマり役だったと思いますね。

あと、やはりキーマンの一人である親戚の男の子カズマを演じる谷村美月さんが、個人的にはぐっさり来て良かったですね。カズマは本当に好きなキャラだわ。


さて、ここまで久々に長々とした感想を書きましたが、結局は兎にも角にも「たくさんの人に観て欲しい」の一言に尽きるかもです。

はっきり言ってしまうと、「ポケモン」や「ハリーポッター」なんかより、よっぽど何かを得られる映画だと思います。特にまだ小さな子供たちには、親御さんと一緒に観て欲しいなぁ。